迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

本を薦め合うアプリ「taknal」(タクナル)の感想:楽しい!

「taknal」(タクナル)は、すれ違った人と「おすすめ本」情報を交換するスマホアプリです。

と、そう聞いたら、本の好きな人は「何それ!」って、食いつかずにいられませんよね。私も食いつきました。

公式サイトはこちらです ↓ 楽しいアプリを作ってくれて、ありがとう!

taknal.app

2日前に、いそいそとインストールしてみました。今のところ無料のアプリで、iPhone用もAndroid用もあります。
仕事に行って帰ってきたら、53冊の情報を受け取ってました。

以下、「taknal」のご紹介レビュー(2021/2/10時点)。

1 自分のプロフィールの登録:

「マイページ」があって、ニックネーム・アイコン画像・自己紹介文(24字まで)を登録できます。
(うまく画像を付けられないことがある不具合については、公式さんも把握済みなので、近いうちに修正されると思います。)

また、おすすめ本をくれた人の自己紹介文を見るには、本のおすすめコメント欄のアイコン部分をタップすると表示されます。自己紹介文が登録されていなければ表示されません。

自己紹介文が24字までなのは、使ってみたら、意外とちょうどいい長さだと思いました。
・本の情報を受け取ったとき、相手の情報を見てみる気になるし、
・読書傾向またはキャッチフレーズくらいは登録できるし、
・逆に、それ以外の情報は詰め込もうとしても詰められないのは、むしろ有難い。

24字だと思うから、本の情報を受け取ったとき、すすめてくれた人の自己紹介も、ついつい必ず見ちゃいます。ただ、結構な割合で、「おすすめコメントは登録されているけど、自己紹介文は登録されていない」みたい。

きっと、いま使っている人たちは、ほとんどが本当に読書が好きな人たちで、自己紹介よりも先におすすめ本の登録を優先しちゃってるんだろうな。などと想像しています。

2 自分のおすすめ本を登録:

おすすめしたい本のタイトルを文字入力して、本を検索します。部分検索してくれるっぽいです。
(本によっては検索にヒットしなくて、公式さんも把握済みなので、近いうちに改善されることを期待しています。)

検索にヒットした中から書籍を選択すると、「表紙画像+あらすじ」に、自分のおすすめコメント(100字まで)を付けて登録できます。

ネットの感想を見ていると、この100字までという字数制限を短すぎると感じる人もちらほらいるようですが、私にはちょうど良い長さ。考え込まずに気軽に登録できるし、すれ違いで情報をキャッチしたときも、「とりあえず感想を見てみるか」と、あまり興味のない本についても、ついコメントを読んじゃう。← これって大事だと思うんです!

何冊まで登録できるのかな。私は3冊だけ登録してみましたが、これから増やしたり、ときどき入れ替えたりしたいです。

3 読みたい本を見つけたら:

すれ違いでゲットした本の情報は、「タイムライン」に表示されます。タップすると、あらすじや、おすすめコメントを見ることができます。

この本読みたいな、と思ったら、タイムラインのおすすめ本のところにあるハートマークをタップすると、「読みたい本」コーナーに記録されます。

この本の情報は必要ないかな、と思ったときは、タイムラインのおすすめ本のところにある「×」マークをタップすると消えます。

また、すすめてくれた人の読書傾向を参考にしたいな、と思ったら、タイムラインのおすすめ本に付いているプロフィールアイコンをクリックすると、その人の他のおすすめ本を見ることができます。1冊だけ登録している人もいるし、たくさん登録してる人もいます。

情報が増えて来て、整理したくなったら、「読みたい本」コーナーにある「整理」ボタンで、情報を削除することができます。

4 おすすめ本53冊を受け取った感想:

まだまだ使い始めなので、これから変わってくるかもしれませんが、今のところは面白そうな本の情報をたくさん受け取れていて、嬉しいし、楽しいです。

「誰もが知っている有名な本」よりも、「過去に大流行したけど今は埋もれてしまっている、未読の人にぜひ薦めたい」本とか、「気になるけど後回しにしてしまって、積読に入れてしまいがちな本」が多い印象です。助かる~。

このアプリが広まったら、全体の傾向はどんなふうに変わるかな、と思うと、楽しみなような、不安なような。

使いやすくなったり機能が充実したりしたら、少しなら課金してもいいから、長く続いてほしいと思います。

5 その他の情報

ここまで書いて来たくらいの前情報があれば、スタートするには問題ないはず。ご興味のある方は、今すぐ始めてもいいし、もう少し使いやすく改良されるまで待つのもありだと思います。

足りない情報や最新の情報は、冒頭に挙げた公式サイトや、ネットや、近くの読書好きさんに聞いてみましょう。

参考になりそうな情報へのリンクも1つ張っておきます。

www.iza.ne.jp

 

それでは皆様、すてきな読書ライフをお過ごしください ♪

本の好きな人は、当ててみて!

 本を読むのが好きで、「結構たくさんの小説を読んできたよ」「話題になった本のタイトルはたいていわかるよ」とおっしる方に、ぜひ見ていただきたいホームページがあります。
 知っている人は知っている、福井県立図書館「覚え違いタイトル集」のページです。たくさんの「覚え違い」の書名と、正解と思われる本のタイトルが表になっています。

 そのまま読んでも楽しいページですけれど、私としては、ぜひ、「一人で遊べるクイズ」として読んでいただきたいと思います。ずばり、「覚え違い」の欄を見て、正解の書名が何かを当ててみてください!

(ひとつだけ注意事項を。もしも、この記事を読んでいるあなたが今、電車の中や病院など「大声を出してはいけない場所」にいるなら、まだ見ないほうがいいかもしれません。見たらきっと、楽しくて声に出して笑っちゃうから!)

www.library-archives.pref.fukui.lg.jp

 思い違いにも色々あって、「すごく惜しい!」のもあるし、「気持ちはわかる……」というのもあるし、いずれにしても、たくさん笑って、元気をもらえませんか?

 特に気に入った「覚え間違い」があったら、読書友達にも教えてあげてください!

ミステリ小説を追加で10冊選びました

 先日、名刺代わりの小説10選(ミステリ編)の記事を書きました ↓

snow-moon.hatenablog.jp

このときに、ミステリならあと10冊くらい書き留めておきたいと思ったのを、しばらく放置していましたが、今日はそれを。

11 獄門島横溝正史

金田一耕助のシリーズです。閉ざされた小島で次々と殺人事件が。現場は俳句に見立てられており、全編にわたって、暗く湿った空気が感じられます。
強く心に残っていますが、実は自宅に本がないので、美化されている可能性も。そのうちにちゃんと買ってきて、再読します。
犬神家の一族」あたりは、原作小説は意外と映像よりあっさりしてるんですけど、「獄門島」のほうは、原作もちゃんとドロドロしています。そこがいいんです…。

12 大誘拐天藤真

殺人はなく、軽快なストーリーだから、「人が死ぬ話はいや」と思う人でも安心して読めます。
……えっ。あれっ? 今って、新刊は売ってないの? そうなのか。
まだスマホのない時代に、携帯電話でやり取りする話だと、仕方ないのかな。名作なんだけどな。

13 読書嫌いのための図書室案内/青谷真未

初めてタイトルを聞いたときは、読書案内の本かと勘違いしました。ミステリです!
学校を舞台にしたミステリかーと思って、最初はあまり興味がなかったのですが、良い評判しか聞かないので気になり始め、実際に読んでみたら、すみずみまで丁寧に作られている素敵な作品でした。読んで良かった!
これも、人の死なないミステリです。ミステリに興味を持った人への最初の一冊にも良さそうに思います。

14 誰も死なないミステリーを君に/井上悠宇

登場人物の一人には、これから死ぬ人が視覚的にわかってしまう不思議な能力があります。そういうのが苦手でなければ。優しいミステリです。
ん? あれっ、続刊あるの? しかも、けっこう前に出てる。知らなかった、読まなくちゃ。

15 奪取/真保裕一

冒頭から、知的好奇心に引きずられて読み進めてしまう小説。テンポの良いストーリーです。少々ご都合主義な展開もあるものの、調和したエンディングに辿り着き、読後感も良いです。
偽札づくりの話があるので、電子マネーだけの世の中になる前に読んだほうが面白いと思います。

16 シャーロック・ホームズの冒険コナン・ドイル

好きなミステリを挙げるとき、いつもどのへんに入れるか迷ってしまいますけど、外せない。今回はこのへんに入れておこう。
どの版がいいとか、特にわからないためリンクも張れません。いつどの版を読んだのが最初だったかも思い出せません。そういう人多いと思うんですけど。
ミステリ好きな人が、「桃太郎」レベルでいつのまにか履修済みになっている偉大な物語、ということですね。

17 QED 百人一首の呪/高田崇史

文学に関するミステリって、いくつかありますよね。これは、百人一首に関するミステリです。私は百人一首に特別な思い入れは何もないのですが、なにげなく手に取って読んだら、「うーむ、本当に、この通りなのでは?」という気持ちになりました。

18 怪物の木こり/倉井 眉介

エンタテイメント精神にあふれたミステリ。サイコパスな人が出てきます。ちょろっとSFっぽい設定もありますが、舞台装置みたいなものです。
犯人はあの人かな、この人かな、そう思わせて実はこっちかな。と、ミステリ初心者か上級者までが犯人当てを楽しめると思います。

19 楽園のカンヴァス/原田マハ

美術をテーマにしたミステリ。独特の密度と香りがあるように感じます。
この作者さんには、優れた美術ミステリがいくつもあるので、いずれ読んで、この作品よりももっと好きな小説も出て来るかもしれないな、と思っています。

20 猟犬探偵/稲見一良

 ハードボイルドから一冊、入りました。物語の乾き具合が、私の好みに合っています。「セントメリーのリボン」や「ダックコール」も好きで、どれを選んでも良さそうに思いましたが、これにします。
早くに亡くなられた方です。もっとたくさん、この方の作品を読みたかった。

 * * *

以上で、ミステリ20冊を選び終えました。愛読書100冊のうち、20冊を選んだぞ、というつもり。
次はファンタジーに取り掛かろうかな、それともSFにしようかな。
お気に入りを選ぶのって、楽しい。

2021/1/23(土)ミュージカル「ポーの一族」ライブ配信の感想

 「ライブ配信」というものを、自分が今まで軽んじていたことに気づきました。申し訳ありませんでした。

 素晴らしかったです。思い切って直前にチケットを買って、本当に良かった!

 独立したミュージカル作品として見ても、原作漫画の舞台化として見ても、とても良い作品でしたので、もし、「観ようかな、どうしようかな」という迷っている方がこの記事を読んでいらっしゃるなら、全力でお伝えしたいです。

ぜひ、観てください!

 嬉しいことに、2/7・2/13・大千秋楽2/28の公演も、ライブ配信の実施が決まったそうです。ライブ配信なら希望者全員が視聴できるので、できるだけ多くの人が見られるといいなと思います

 なお、この記事に書いてあることは、飽くまでも 2021/1/23 のライブ配信に基づいていますので、異なる回についての正確な情報が必要な場合は、別途ご確認くださいね。公式サイトはこちらです ↓

www.umegei.com

 (以下、書きたいままに書いたら、大変長い感想文になってしまいました。ご参考になりそうなところだけ拾ってお読みいただけたらと思います。)

ライブ配信について

チケットを買う

チケットぴあ「ポーの一族」チケット情報ページで、チケットを購入します。
(2021/1/23時点では、まだ2月分のライブ配信チケットの購入メニューはありませんでした。そのうちに追加されると思います。)

公演名に「動画配信」と付いていて、公演会場名のところに「PIA LIVE STREAM」と表示されてるはず。

料金は、チケット料金+システム利用料。
今回はチケット1枚分 3,820円でした(GO TO イベント適用後の金額)

配信を見る

 スマホタブレット、パソコンなどで視聴できます。
 私はノートパソコンと両耳イヤホンで視聴しました。

・受付メールのリンク等から「CLOAK」サービスにアクセス
(チケットぴあの会員IDとパスワードでログイン)

・配信視聴用のURLを受け取る

・URLにアクセス
「PIA LIVE STREAM(ぴあライブストリーム)」の画面になって、タイトル画像が表示されれば、正常にアクセスできています

なお、上演時間の少し前に、明日海りおさんのコメント動画がありました。時間に余裕をもってアクセスするのが良いと思います。

それから、アーカイブ配信はありません。巻き戻し再生もできません。リアルタイムに約3時間(うち25分は休憩)あります。ご注意ください。

ライブ配信のメリット

こんなにメリットがありますよ~。

・劇場の席には定員があるけれど、ライブ配信なら希望者全員が見られる
ライブ配信ならではのカメラワークで見ることができる
・劇場に行って観賞するよりもお財布に優しい
・自宅でリラックスして視聴できる

それから、ライブ配信というものを初体験した私にとって意外だったのは、「リアルタイムで観ている」という意識によって、思っていたよりもずっと、臨場感・高揚感・一体感があったこと。とても良い体験ができました。

ライブビューイング情報と会場リストの参照先

大千秋楽2/28の公演は、全国映画館でライブビューイングもあるそうです。
会場リストももう出ているようです。
関連のリンクを貼っておきます。

liveviewing.jp

theatertainment.jp

観劇の感想

前提として:「萩尾望都さんの原作漫画が大好き」組です

 この公演を観る人たちは、いくつかの異なる興味のルーツを持って観劇していると思いますが、私自身は、「原作漫画が大好き」の一員として観賞しました。
 「観劇」に対する興味としては、1~2年に1度、劇団四季歌舞伎座に行くくらいです。「好きだけど、あまり詳しくない」といったところでしょうか。
 豪華な出演者の方々についても、「明日海りおさんのエドガーは絶賛されているようだ」「千葉さんのアランも高く評価されているようだ」「実力派の方々がたくさん出演されているようだ」という、ざっくりした認識でした。

 宝塚版「ポーの一族」は見損ねています。企画が発表されたときに興味を持ったものの、公私ともバタバタと取り込んでいる時期に、気が付いたら終わってしまっていました。後からネットで情報を検索して、パンフレットの表紙(明日海りおさん扮するエドガー)に衝撃を受けました。「エドガーを演じられる生身の人間がいるなんて!」

 今回の公演が決まったときは、とても嬉しかったです。劇場のチケットは取れませんでしたが、ライブ配信のおかげで、この素晴らしい公演の観劇が叶いました。どなたにお礼を言ったらいいのか、よくわからないのですが、とにかく、関係者の皆様に感謝しています。どうもありがとうございます!

エドガー(明日海りおさん)もアラン(千葉雄大さん)も完璧

 何よりもまず最初に、俳優さんって本当に凄いですね! と思いました。

 宝塚公演の評判を聞いていたので、明日海りおさんのエドガーについては安心して楽しみにしていて、拝見したら、本当に。男性とも女性とも大人とも子供ともつかない、優しさと冷たさを併せ持つエドガーが、生きて動いてました!

 アランについては、観る前は少し心配していて、それというのも、成人男性がアランを演じるなんて、いかにも難しそうで。考えようによっては、エドガーよりもむしろアランのほうが難しいくらいなのでは、と思いましたので。でも、拝見したら、千葉さんのアランの演技は、パーーーフェクト!でした。心配するなんて、千葉さんと千葉さんファンの方々に失礼だったのかもしれませんね。申し訳ありませんでした。

 どの役においても、「演じる人」と「演じられる役」の間には、心や体の差異がありますよね、でも、演じ手さんの技と解釈とオーラは、その境目を悠々と越えて来るんだなあ、と、しみじみ感じ入りました。
 明日海さんのエドガーもですけど、千葉さんのアランも、「演じる人と演じられるキャラクターが一体となっている在り方」が、なんだかもうミラクルでした。だって、「14歳の男の子で、お金持ちのお坊ちゃんらしく、一見おとなしそうに品よく見えて、ちょっと生意気で・きかん気で・ワガママで、やんちゃな仕草もあり、ナイーブな面もあり、実は光属性も持ち合わせているアラン」ですよ?

 すみません、こういうのは言葉にしようとしても難しいし、うまく通じないですよね。とにかく、エドガーもアランも、とても良かったです。
 生身の人間が彼らを演じられるのだろうかと、不安のあまり鑑賞の決心がつかずにいる方たちも、どうぞあまり心配なさらずに。これからのライブ配信などで観ていただけたらいいなと思います。

シーラ(夢咲ねねさん)も素晴らしかった……。

 ええと、主要な登場人物については、演じていらっしゃる皆さん本当に、物語の中か抜け出て来たとしか思えない人が多くて、それは、この公演に関わっている多くの方たちがみんな、「ポーの一族」という物語に深い尊敬と愛情を抱いていることの表れなのだと思っています。
 だから、一人一人について語ろうとしたら、キリがなくて終わらなくなってしまいますよね。と、ここまで書きながら気が付きました。

 なので、最後にもう一人だけ、私が「胸が震えるくらい、最高に好き!」と思った登場人物を。
 ポーツネル男爵夫人のシーラです! 原作でのシーラの描かれ方って、いくらか余白が残されていて、読者の想像で埋めてもいいし埋めなくてもいいのだと思っているのですけれど、ミステリアスな美しさを損なわないまま、余白部分にふっくらと埋めてあるシーラらしさが、「まさにシーラはこのような人であっただろう」と思わされて、素晴らしく魅力的でした。シーラが話すたびに、声色の変化に魅せられて、惹きこまれていました。

わかりやすく省略しつつ、配慮の感じられる構成

 お芝居の構成についても、感じたことがあります。不勉強なので他の方には読みにくいかもしれませんが、書き留めておきます。

 重要なエピソードであっても、メリハリをつけて分かりやすく構成するために、詳細の省かれた部分がもちろん多くあります。でも、「ストーリーを知らない人が置いてけぼりにならないための工夫」と、「ストーリーを知っている人がそのシーンの本来の意味を二重写しにしやすいための工夫」を、共に成り立たせようとする配慮が随所に見られました。みんなが満ち足りて鑑賞できる、このバランスを組み立てるためには、大変な努力と苦労があったのではないでしょうか。

 たとえば、メリーベルがアート男爵家の養女だった頃のエピソードは、目立ちすぎずにスムーズに流れて行くように構成されていて、ぎりぎりまで抑えた演出により、オズワルドの凛々しさやユーシスの儚さも10%くらいの出力で、エドガーがメリーベルのところに姿を見せるシーンもシンプルになっています。
 そのことで、原作を知らない観客も、素直に受け止めて次へと進んでいけるのですが、同時に、人物の立ち位置やセリフの内容などによって、原作を知っている観客のほうも本来の意味合いを透かして見られるようになっている、と感じました。

 オズワルドが水車を作ろうとしてくれたこと、ユーシスが光に溶ける王子様みたいだったこと、エドガーがメリーベルの前に現れて語りかけた言葉、それらの繊細で細かい諸々を重ねて見ても大丈夫なように、考え抜かれて構成されているバランスが素晴らしいと思いました。

(オズワルドとユーシスの役者さんには、持ち時間の短さゆえの困難があっただろうなと思いました。おつかれさまです。)

原作漫画(萩尾望都さん「ポーの一族」)のこと

 少しだけ、原作漫画への愛を語ってもいいでしょうか。舞台から入って、原作に興味を持たれた方もきっといらっしゃると思いますし。

 本当にコアな原作ファンの方々には及ばないのかもしれませんが、連載初回~「エディス」までの連載分について4種類の版を持っているくらいには、「ポーの一族」が大好きです。初読は中学生のとき、友達から借りて。
 4種類というのは、赤い本シリーズの4冊と、2冊組の愛蔵版と、フラワーズ5冊組復刻版と、2冊組のプレミアムエディション。布教するときには、掲載順を重視して愛蔵版を使うことが多いです。

 また、以前も書いたことがあるのですが、私の「そのとき一番好きな漫画」は折々に変わることがある一方で、「最も人生に影響を受けた漫画」は、中学生のときに初めて読んだとき以来、今のところ一度も変わることなく「ポーの一族」であり続けています。これからも変わらないのではないか、という予感がしています。そのあたりの詳細は、書いたことあったかなあ、今回は書かずにおきます。

 あとですね、長いこと周りの人たちに広めてきた中には、もちろん、合わなかった人もいます。万人に好かれる作品も、万人に嫌われる作品もありませんし、ファンタジーというジャンル自体が苦手な人もいます。原作のエピソードの並び順が時間を行きつ戻りつするのが苦手、という人もいます。漫画を読むときの絵柄の好き嫌いも、人によって違います。
 そういう意味では、これから初めて原作を手に取る方は、あまり期待しすぎませんように。でも、舞台を見て原作に興味を持ったなら、ぜひ、試しに読んでいただけたら、ファンとして嬉しいです。

 

……と、こんなところで、記事を終わりにしておきます。
長くなりました。もう書き終わらないかと思っちゃいました。文章のおかしいところがあったら、後日そっと直すかもしれません。

一言でまとめると:ライブ配信、おすすめです。

 

 

ミステリ読了「読書嫌いのための図書室案内」

 ふだんは、私、「学校の日常を舞台にした小説」は敬遠しがちなんですけど。
 聞こえて来る評判があまりにも良いので、買って来て読んでみました。
 面白かった! お気に入り度Aランク。

 読書が大好きな女の子と、読書に興味のない男の子が、一緒に図書新聞を作ることになって、その過程でいくつかの謎を解決したり、勇気をもって踏み出したりするお話です。

 とても丁寧に作られた物語で、読後感も爽やかで、安心して人に薦められる(悪趣味と思われる心配がない)ミステリでした。

 いわゆる「日常の謎」系が苦手だという理由で、読むかどうか迷っている方もいらっしるのでは。でも、私も「日常の謎」系は苦手ですけど、これは大丈夫でした。
 試しに読んでみる価値はあると思いますよー。