迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

「頭は良くならない絵本」って。読んだら大爆笑の「ねこいる!」(著:たなかひかる)

「頭は良くならない絵本」って、私が言ったんじゃなくて、謳い文句として書いてあったんです。
表紙のインパクトに誘われて読んでみると……、わあ! なんじゃこりゃー!?

最初のページから順番にめくって行きながら、途中から笑いが止まらなくなって、クライマックスで大爆笑しました。

とても短い、ナンセンスなお話なのですけれど、大人も子どもも大笑いできるので、いろんな人に読んでみてほしいです。

1点だけ注意があって、猫の嫌いな人にはおすすめしません。
猫がたくさん出て来るので、「ぎゃっ」と声が出ちゃうかも。ほんとに。

 

今回は、ミステリーをまた1冊読んだので、その感想記事を書こうとしていたのですが、またしても凄惨なのを読んでしまってですね……、ほっとした気持ちになりたくて読んだ、こちらの絵本を先にご紹介しました。

今年読んだ絵本の中で、笑える絵本のナンバーワンです。おすすめです♪

ミステリーの王道を行く「ストーンサークルの殺人」(著:M・W・クレイヴン)

 先日、シリーズの第三作「キュレーターの殺人」が発売されたので、そろそろ読まなければと慌てて、シリーズ第一作「ストーンサークルの殺人」を読みました。
 期待通りに面白くて、「連続殺人をテーマとするミステリ小説が正統に進化すると、こうなるんだ!」と、思いました。

 あっ、ええと、ここでいう「正統に進化」というのは、つまり、奇跡的なトリックや超自然の力を借りずに、(多少強引ではあっても)現実的なロジックによって構築されたストーリーが、現代のテクノロジーのもとに展開される、というような意味です。

 不可解な連続殺人事件。個性的な登場人物。丁寧に書き込まれたストーリー。
 主人公の過去がワケアリなので、少し警察小説っぽかったり、少しハードボイルドっぽかったりするのも、いいですね!

 一歩ずつ真相に向かって近づいていく感じが、とても良いと思いました。
 真相そのものより、真相に近づいていく過程が見どころ、とも言えそうです。
 さりげなく配置された手がかりも、あとからなるほどと思わせられました。

 一方、心配な点としては、事件がややリアルに描写され過ぎるので、残虐なのが苦手な人には辛いかもしれません。
 いえ、本格的にスプラッタなホラー小説に比べたら、「これもまた、今ふうの演出ってことだから……、フィクションだし、あまり気にしないようにして通り過ぎよう」という程度ではあります。それでも、ネットのレビューを見ると、気になってしまう人がちらほらいるようなので、心当たりのあるかたはご注意ください。

 以上、シリーズ第一作「ストーンサークルの殺人」の感想でした。
 シリーズの第2作、第3作も、ミステリ界隈での評価は高いようです。
 そのうちに読んでみようと思います。楽しみです。

相談と行動の大切さを教えてくれる「七十歳死亡法案、可決」(著:垣谷美雨)

 高齢化社会が抱える問題を一気に解決すべく、あるとき、デキる首相が「七十歳死亡法案」を強引に通した……という、架空の日本が舞台です。

 「七十歳死亡法案」とは、すなわち、日本人は70歳になったら安楽死せよ、という法案。ええっ、そんな無茶な。

 小説の中で、この法案が可決したのは2020年で、施行予定の2022年まであと2年あるけど世の中は大騒ぎ、という状況です。
 現実には今が2022年ですから、いいタイミングで手に取ったというか、物語とのご縁を感じました。

 読み始めてみると、描かれている悲喜劇があまりにも今の世相を反映しているので、10ページくらい読んだところで、「これ、いつ書かれた小説なんだろう」と気になって確認してしまいました。2012年、ちょうど10年前に発表された小説なのでした。

 大筋としては、ある家族を中心に据えて、一人ひとりの立場と悩みを丁寧に描き出しています。介護する人、される人。離れて暮らす娘。引きこもりの息子。
 細やかに心情が描かれるので、私たちが言葉にできずに抱えているモヤモヤを、作者さんが代わりに言葉にしてくれた、という気持ちにもなります。「そうそう、そうなのよ!」と、分かち合ってもらってる感じがして、励まされます。

 そして、そうやって各々の悩みを描写しつつ、全体の雰囲気が重苦しくならないのは、この作者さんの良いところ。たぶんそれは、登場人物たちが皆、お互いに不満を抱えながらも、愛情や尊敬や感謝の気持ちもちゃんと持っている善良な人たちだからだと思います。この小説には悪人がいません。

 物語の後半では、いろんな人が思い切ってアクションを起こすことで、全体が良い結末へと向かっていきます。現実世界では、こうトントン拍子にうまく行きはしませんが、明るい気持ちでこの物語を読み終わりつつ、「これは小説だから」と切り離すのでなく、この物語が届けてくれたメッセージのいくらかを、現実と向き合うときの助けにすることはできるはず、と思います。

 私がこの小説から受け取ったメッセージは、大きく分けて2つ。
 ひとつめは、「1人で悩まないで、相談しよう」ということ。
 なぜって、一人きりで考えていても、思いつめたり、客観的な判断が下せなかったりして、自分で自分をがんじがらめにして抜け出せなくなることが多いから。
 家族でも、友達でも、同僚でも、ともかく誰かに相談してみることで、新しい考え方が見えてくるんだよな、と思いました。

 ふたつめは、「行き詰ったら、変化を起こそう」ということ。
 「これ以上悪くはならない」状況に閉じ込められたら、もう、何でもいいから変えてみたらいいんだと思います。トライあるのみ!

 と、そんな感じで、まとめてみると、この本は、いろんな人の悩みに寄り添ってくれるし、気づきをもたらしてくれるし、読後感も良いです。欠点は、しいて言うなら、男性の視点が弱いことくらい。
 内容の面白さに比して、あまり話題にならなかったように思うんですけど、たまたま私が見逃していただけなのかなあ?

 もしかしたら、文庫本の解説で言われているとおり、物語のタイトルや設定が高齢者には紹介しづらいものだったために、推薦されにくかったのかもしれません。
 たまたま今回、手に取る機会があって、読めて良かったです。
 軽快な運びで一気に読めて、面白かったです。

ひとつのトリックが幾多の謎を解き明かす「首無の如き祟るもの」(著:三津田信三)

 「首無の如き祟るもの」は、もうタイトルからしてホラーチックな雰囲気の漂うミステリです。書名を見かけることが多かったので、そのうち読もうと思いながら、ずいぶん遅くなってしまいました。

 やっと読みました。しっかりした推理小説でした。面白かったです♪
 事件の真相には触れないようにしてご紹介しますね。

 お話全体としては、横溝正史の「犬神家の一族」や「八つ墓村」の系統を受け継いでいます。
 ある土地に、代々受け継がれている因習があり、その関係者が次々に恐ろしい事件の被害者になってしまう。全ての遺体には、共通する奇妙な特徴があって……。

 これだけでも、どれどれと手を伸ばしたくなるミステリ愛好家は多いと思います。
 が、私がこの小説で一番好きなのは、謎のほどけかたです!

 ほら、たまにある、あのタイプなんですよ。
 小さな謎が積み重なって山のようになっているところに、名探偵がひとつのトリックを解き明かしてみせて、そこからするすると全てが解けていくやつ! いいですよね!

 あと、作者さんのミステリ愛がビンビン伝わって来るのも、すごく良いです。
 伝統的な「本格推理小説」のことも、昨今の「新本格ミステリ」のこともまとめて愛してて、そこから生まれるエンタメ精神が作品に満ち溢れている……!

 そういうわけで、次のようなミステリ読者さんに、強くお薦めしたいです。
 横溝正史犬神家の一族」、島田荘司占星術殺人事件」、麻耶雄嵩「翼ある闇」が好きな人。ぜひ。
 逆に、この「首無の如き祟るもの」を好きな読者さんが、まだこれら3作を読んでいなかったら、試してみてほしいです。

 なお、この作品を読み終わってから気づいたのですが、こちら、シリーズものの3作目でした。けど、ここから読み始めても別に違和感はなく、問題なく楽しめました。
 そのうちに、シリーズの別の作品も読んでみたいと思います。
 遡って最初からにするか、このまま先へ進んでしまうかは、まだ決めていません。

本屋さんでもらえる御書印を、可愛いスタンプ帳に集めたい♪

御書印を集めたくなるスタンプ帳を作りました!

今回、手前味噌な紹介記事になります、恐縮です。
最初に、「御書印とは」というご紹介を書こうとしたのですが、書きかけてすぐ、「あれっ、もしかして、これは前に書いたかも?」となりました。
過去の記事を検索してみたところ、やっぱり1年半くらい前に書いてた!
同じことを繰り返し書く前に、気が付いて良かったです。

本屋さんで、御朱印ならぬ御書印を押してもらえる「御書印プロジェクト」についての詳細は、そういうわけで、こちらの過去記事をごらんください♪
(ざっくり言うと、「有料の、全国書店スタンプラリー」のようなものです。)

snow-moon.hatenablog.jp

プロジェクト参加書店は、いまも順調に増えているようです。
(センイチブックスも参加できるかしらと問い合わせてみましたが、シェア型書店はダメなのだそうです。残念。)
プロジェクト参加書店で無料でもらえる、公式の「御書印帖」も、たぶんまだ配布しているところがあると思います
2,200円の公式「特装版」のほうは、ちょっと分かりません。それほど多くは作られていないと思うのですが。

さて、これらの公式「御書印帖」を使って御書印集めを始めるのも、もちろん、大変良いと思います!
ですが、私は、(「お薬手帳」制度が始まったときもそうだったのですけど、)少し余計にお金を払ってでも、自分好みの可愛い帳面と長いお付き合いをしたいと思ってしまうので……。

御書印は市販の御朱印帳にも押してもらうことができることから、あえて御朱印帳に似せた仕様で、
オリジナルのスタンプ帳を作りました!

2種類あります。
片方は、直接スタンプを押してくれる本屋さん用。
もう片方は、あらかじめスタンプを押してある紙をくれる本屋さん用で、ひと回り大きいビニールポケット式。

少しお値段が張ってしまったのですが(御朱印帳の仕様だから?)、公式「特装版」の値段を超えないように気をつけました。

できあがったのが、ジャーン、こちらです。

treasureboox.theshop.jp

treasureboox.theshop.jp

表紙絵は、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、兼ねてよりお世話になっている、イラストレーターの 池田 優 さん の絵です。
2枚とも、私の大好きな絵で、「このイラストをスタンプ帳に使わせてください」とお願いして、正式に使用許諾をいただきました。

コレクションって、自分の心を明るく照らしてくれるものを手元に置いておくこと、だと思うんです。
「わたしの光」と名付けられた池田さんの2枚の絵は、本当に、ぴったりだと思います。

 

これらのスタンプ帳は、先日、センイチブックスに実物サンプルを持っていって、店頭でも販売してみました。
てっきり、価格が安くて直接ハンコを押せる「わたしの光1」のほうが売れるだろうと思っていたら、意外にも、「羊がかわいいから」「ビニールポケットに領収書を保管できそうだから」と、ポケット式の「わたしの光2」のほうが売れています。

なるほど、このビニールポケットには、ポストカードくらいの大きさ・厚みのものを入れることができます。
あとから考えると、ビニールポケット式のほうにも「スタンプ帳」という名前を付けてしまったのは、用途を限定しすぎたかもしれません。

いずれにしても、自分の欲しいアイテムを、こんなふうにして企画・作成・販売できるとわかって、嬉しく思います。

……以上、「こんなところに宝箱が!書店」のオリジナル商品「スタンプ帳」のご紹介でした。
ここまでお読みいただいて、どうもありがとうございました。

2番目のオリジナル商品「読書ノート」のことも、近くご紹介させていただこうと思います。