迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

夏休みの思い出(セミの抜け殻)

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(※抜け殻の画像はありません~)

 セミが毎日ミンミン、ジリジリ鳴く季節になると、子どもの頃の、夏休みの宿題のことを思い出します。

 ある年、小学校の夏休みの宿題で、セミの抜け殻を提出するという宿題がありました。セミの種類ごとの見分け方を書いた、イラスト付きのプリントが配られていました。
 ん、私の宿題じゃなくて、きょうだいの宿題だったような。でも、私も一緒にセミの抜け殻を探しました。さあ、何種類見つかるかな?

 当時住んでいた辺りでは、よくセミの抜け殻が見つかりました。(近くの林には、たまーに、カブトムシやクワガタもいました。夜、父と一緒に、懐中電灯を持って探しに行ったっけ。)
 いそいそと、いくつか抜け殻を拾ってきてプリントを参照すると、アブラゼミ。まずは1種類ゲット。というか、全部アブラゼミ。違う種類のが欲しい。

 当時存命だった祖父母が、田舎から、庭で拾ったという抜け殻を数個、送ってくれました。ひとめ見て、「あっ、種類が違う!」と、興奮しました。「みんな小さいね。これは……ニイニイゼミだね!」2種類目をゲット。

 もう1種類、欲しいなあと思いました。だって、鳴き声が聞こえてくるんですもの、ミンミンゼミの。だから絶対、近くに住んでいるはず、と、抜け殻を見つけるたびに拾って確かめるのですが、ぜんぶアブラゼミなんですよね。

 ちなみに、見分け方ですが、大きさ的には、アブラゼミとミンミンゼミの抜け殻は似ています。パッと見で分からないので、拾い上げて、じっくりと見ます。
 注目するのは、触覚のところです。節がいくつあるかを数えて、7つならアブラゼミ、8つあればミンミンゼミです。なので、抜け殻を拾ったら、カッと目を凝らして、ちっちゃい節を一所懸命に数えて、「これも7つしかない。アブラゼミー」と、やっていたわけです。(今の私だと虫メガネがないと無理だわー)

 

 さて、そんな夏のある日、近所の林の横の道を歩いていたら、道端の草むらでガサガサと音がして、目をやると、羽化したての綺麗な薄緑色をしたセミが1匹、仰向けになって、もがいていました。まだ柔らかい羽は折れ曲がっていて、うまく起き上がれないのです。大変、このままの形で羽が固まってしまったら、飛べなくなっちゃいます!

 そっと拾って、おもて向きに(という言い方で合ってるのかな)置きなおしました。羽も元通りの形になりました。うんうん、これで良し。ここでしばらく乾かしていれば、羽が固まって、飛べるようになるからね。いいことしたなあ、私!

 ふと見ると、すぐ近くに、やや長めに伸びた草があって、抜け殻が付いていました。ははあ、なるほど。うっかり者のセミが(私もうっかり者だから共感するわ!)、木ではなく草に取りついて羽化したところで、草が重みに耐えられずにたわんでしまい、仰向きに落ちてしまった……と、いうことね(ミステリ好きな子どもでした)。じゃあ、あなたを助けたお礼に、この抜け殻、私がいただくわね!

 目を凝らして、さっそく抜け殻の触覚の節を数えると、ひい、ふう、みい……、あっ、8つある! いやいや待て待て、もう一度数えると……、やっぱり8つある! なんと、ミンミンゼミさんでしたか! お互いに、良い出会いだったね!

 そういう次第で、3種類、セミの抜け殻をゲットできて、満足したのでした。本当は、晩夏まで待てればツクツクボウシも鳴きまくる場所だったのですが、夏休みが終わった頃だと、まだツクツクボウシには早かったと記憶しています。

 

 という、夏の思い出が、意外と何年経っても(何十年経っても)忘れられないのは、毎年セミの声がトリガーとなって思い出されるから、なのでしょうか。

 教訓1:羽化するときは、たわまない丈夫なものに取りつきましょう。

 教訓2:情けは人の為ならず。(人じゃなくても。WIN-WIN!)

 

 書き終わって投稿しようとしたら、はてなブログのお題に、「記憶に残っている日のこと」というのを発見したので、参加しておきます。お子さんのいらっしゃる方だったら、夏休みの自由研究にも、いかがですか?(見分けかたのプリントは今は手元にないので、資料は調べ直してくださいね~)

 

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」