迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

威力のある目覚まし時計の思い出

 優しい心地よい音で目覚められたら素敵だけれど、実際には、優しい心地よい音を目覚ましとしてセットしても、威力が足りずに起きられなかったりする。目覚ましが鳴り続ける中、気づかないでグーグー寝ている私より、隣で寝ている家族のほうが先に目を覚ましてしまうこともあり、申し訳ない。

 そういえば、実家で暮らしていたときは、CDラジカセにタイマーをセットして、オーケストラのラヴェルの「ボレロ」が流れるようにしていた時期があった、などと思い出した。ご存知の方も多いだろうが、「ボレロ」は曲が進むにつれてだんだん楽器が増え、音量も大きくなる。自然に目覚めることができる名案だと思ったし、まあまあ機能しているように思えていたが、ある日、1曲終わっても目を覚まさずに寝坊した。やはり、心地よい音の目覚ましでは、起床の確実性に難があるのか……。

 それで言うと、私の知っている中で最も威力のある目覚ましは、妹が高校生のころ使っていた目覚まし時計で、手のひらに乗るくらいの、かわいいキャラクター物の目覚まし時計だった。印籠のような形をしたパステルピンク色の本体に、「うちのタマ知りませんか」の猫の絵が付いていた。
 この目覚まし時計は、設定した時間になると、(交響曲「運命」の「ジャジャジャジャーン」のメロディで)「ニャニャニャニャーン!」と喋った。昼間に聞いたら「へえ、かわいい声だね」くらいの感想しかない音声なのだが、これが、目覚ましとして使うと効果抜群で、ぎょっとして飛び起きてしまう。鳴った瞬間、「うわっ、うるさい!」と感じるのだ。

 妹はその目覚ましを、学校の修学旅行にも持って行った。目覚ましをセットするとき、あらかじめ同室の子たちに、「明日の朝、こういう音が鳴って、すごくうるさいけど、ごめんね」と説明して鳴らしてみせたときには、みんな、「え、かわいいじゃん」くらいの反応だったが、実際に翌朝「ニャニャニャニャーン!」と鳴ったときには、「うるさいっ」と不評だったそうだ。

 ということを、最近思い出したので、あの威力抜群の目覚ましは今は売っているのだろうか?と、ネットで検索してみた。結論から言うと、見つからなかった。かろうじて、これも廃版だが同じキャラクターの、おそらく同じ音声で起こしてくれる、大きめの猫の形の目覚まし時計が数件ヒットしたが、妹が使っていたような、携帯に便利な小型のタイプは見つけられなかった。優れものだったのにな。