迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

いまどきのクローズドサークルは宇宙に!「星くずの殺人」(著:桃野 雑派)

「星くず」という言葉って、どことなくメルヘンチックな響きだと思いませんか。

さらに、表紙の絵には、闇に浮かぶミステリアスな美少女が一人。

それで、なんとなく、「夜空にまつわる、ちょっとロマンチックな雰囲気の、みずみずしい青春ミステリ」みたいなイメージを持ったのですが、……全然違いました!

「星くず」というのは、宇宙に浮かぶホテルの名前です。
本作は、「宇宙に漂う巨大密室」のミステリなのでした。

表紙の絵をもう一度しげしげと眺めてみると……あっ、宇宙服を着ています。
注意力が足りなくて失礼いたしました。

 

さて、読んでみると、宇宙ホテル「星くず」は、まるで作家さんが現地で取材してきたかのように具体的な描写で、臨場感たっぷりに描き出されていました。

いえ、実際には存在していませんから、取材ができようはずはないのですが、それくらいに、舞台も小道具も理論に裏打ちされて、整然と構築されているSFミステリです。

ふだんミステリを読むときは「自分でも推理しようとする」派の私なのですが、理系な知識があまりにも乏しいため、途中で推理はあきらめて、素直にストーリーを追うことに。

個性あふれる登場人物と、サスペンスフルなストーリーで、ずっと「この先どうなるんだろう」と思いながら読みました。

明らかになった犯人像も、今の時代に合っていると思いました。面白かったです。

 

SFもミステリも好き、という人におすすめしたい1冊です。

SF小説でなくても、SF映画やSFアニメを観た経験があるといいな、と。

そうすれば、説明が言葉だけでも、宇宙ホテル「星くず」の光景が目に浮かぶと思いますので。

 

なお、著者の「桃野 雑派(ももの ざっぱ)」さんは、「老虎残夢」で江戸川乱歩賞を受賞した方で、受賞後第一作がこの「星くずの殺人」です。

「老虎残夢」は未読なのですが、これも密室ミステリのようです。

そのうちに読んでみようと思います。