迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

「この世にたやすい仕事はない」(著:津村記久子)感想

「この世にたやすい仕事はない」(著:津村記久子)は、仕事に打ち込みすぎて疲れてしまった女性が、勤め先を退職し、いくつかの仕事を転々としながら元気を取り戻すお話です。連作短編集で、お気に入り度はAランク。
(このブログに載せる読書感想は、できるだけAランク以上のお気に入りについて書こうと思っています。)

 

さて、この本の最も面白いところ(と私が感じたところ)は、主人公が縁あって携わることになる仕事の数々が、相当ニッチなラインナップで、ふだんは知る機会があまりないような仕事について、具体的にどんな仕事なのか知ることができる点だと思います。

派手か地味かでいえば、まちがいなく地味な、裏方の仕事ばかり。でも、どれをとっても、「ああ、そういう仕事って、そういう仕組みになってるんだね」と、興味深く読むことができました。

もちろん、読む人によっては、興味の持てない仕事内容かもしれません。目次を開いて、好きそうかどうか感触をお確かめくださいね。また、Amazonでは試し読みもできるようです(2021年4月4日現在)。

 

主人公の人柄についても、少し。
まず、テンション低めながら、真面目に作業に取り組む人です。
それから、おかしなことを見聞きすると、心の中でツッコミを入れちゃう人。
なんだかんだ言いながら、つい仕事が面白くなって熱中しちゃう人でもありそう。
私も少し似たところがあるので、親しみを覚えました。

読後感も良かったです。主人公が少し元気になったのを見て、読者の自分も少し元気になりました。社会で働く人間の一人として、励まされる思いがしました。

 

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ここから、少し話が逸れて、おまけみたいな話なのですが。

「仕事といえば、そもそも、今ってどんな職業があるんだろう。知らない新しい職業も増えているのではないかしら。よく分からないや」と思うことって、ありませんか。
というのも、私もあまり自信が無くて、今時の子供たち向けの職業案内本など、パラパラとめくることがあるからです。

具体的な書名で言うと、「天職攻略大図鑑 王様の求人票」という本が気に入っていて、様々な職業についてコンパクトに紹介し、「うまく行くと、こんな活躍ができるよ」だけでなく、「うまく行かなかった場合は、こんな感じになるかも」のイメージも載せてくれているところが、とても良いと思っています。

 

一人ひとりの働く期間が長くなりつつある昨今、職業や働き方の変化については、気を付けて情報を取り込んでいきたいな、と思います。