迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

名刺代わりの小説10選(ファンタジー編)

 私の好きなミステリ10選を書いた後、ファンタジー10選も書こうと思いつつ、まだ書いていませんでした。今日こそ書きます!
 なお、ミステリ10選を書いたときの記事は、こちらです ↓

snow-moon.hatenablog.jp

目次

1 獣の奏者(全5巻) by 上橋菜穂子

 ファンタジーを愛する老若男女の読書家さんに、「もし未読なら、読んでみてください」とお勧めしている本です。とても人気のある作品なので、私などが勧めずとも、ファンタジーが好きな人なら遅かれ早かれ出会う物語でしょうけれども。

 「闘蛇編」と「王獣編」が出たところで、いったん完結したのですが、何年も経ってから「探求編」「完結編」「外伝」が書かれて、全5巻となった物語です。実は、私は「王獣編」までしか読んでおらず……、でもそれは、「王獣編」まで読んだ時点で、あまりにも「いいものを読んだなあ!」という充足感が深すぎたため、なかなか続きに手が伸びない、という理由からなのです。

 いずれ、続きも読みますよ! すでに「探求編」「完結編」は購入済み。今は、「いったん、ほとぼりを冷ましてから」というインターバル中なのです。インターバルが長すぎと指摘されたら返す言葉もありませんが……。

 青い鳥文庫も出ているので、小学生高学年くらいでも読めます。とはいえ、大人が面白く読める物語を、焦って早く読む必要も無さそうに思います。

2 ライオンと魔女ナルニア国物語より) by C.S.ルイス

 「ナルニア国物語」という全7巻シリーズの、最初に世に出た巻が「ライオンと魔女」。どうして「1巻目」と言わずに「最初に世に出た1冊」と呼ぶのかというと、物語の時系列で並べると2番目のエピソードとなり、現在、「第2巻」とされることが多いからです。でも私は、最初に書かれたこの巻が、一番好き

 「ナルニア国物語」は、海外では「指輪物語ナルニアか」と言われるくらい有名なファンタジー作品らしいのですが、日本での知名度はいまひとつ。それでも、映画化前よりは名前が知られるようになりました。私は、映画よりも原作のほうが好き。

 作者のかたが、親戚の(だったかな?)少女に語るために創った物語なので、小学生にも読みやすい、親しみやすいお話です。長く読み継がれた翻訳のほかに、新訳も出ています。

3 「豹頭の仮面」(グイン・サーガ第1巻) by 栗本薫

 作者の栗本薫さんが、ライフワークとして執筆していらしたヒロイック・ファンタジー、「グイン・サーガ」シリーズ。残念ながら、シリーズの途中で亡くなられたため、今は他のかたが書き継いでいらっしゃいます。

 途中から、私は読まなくなってしまいました……。それでも、中学生のときに初めて図書館で読んだときの、「私の読みたかった物語がここにある!」という衝撃は忘れられません(ちなみに、図書館の棚に残っていた第14巻でした)。

 様々な意味で、ほかの人に薦めにくい作品ではあります。まだ完結していませんし、元の作者さんは途中で亡くなられていますし、何より、とても長いので……。
 全100巻予定で始まった物語は、だいぶ早い段階で、予定より長くなることが明らかになっていました。かなりハイペースに刊行されていましたが、130巻目の執筆中に栗本さんが亡くなられて、続きに関するプロットは存在せず、作者自身の覚書が残っている程度。その後、別の方々が書き継ぐこととなり、今は147巻まで出ているようです(2021年10月現在)。

 と、これほど勧めにくい物語でも、それでもやっぱり、ファンタジー小説が好きな方には、栗本さんが書かれた部分の、どこでも1冊でいいから読んでみていただきたい、という気持ちが強くあります。栗本さんが自らを「語り部」と呼んだのも納得できる、世界の豊かさに触れてみていただきたく。「どこでも1冊」と言われても困る方が多いでしょうから、そしたら、1巻目の、この「豹頭の仮面」を、と。

4 「月の影 影の海」(十二国記) by 小野不由美

 雑誌の特集など、「日本生まれのファンタジーで代表的な作品を挙げる」場面では、だいたいリストに入って来る「十二国記」シリーズ。独特の重厚な世界観が魅力でもあり、ハードルでもあります……というのは、厳しくて辛いエピソードも多いからです。

 それでも、各エピソード、どこかに救いはあって、そのおかげで読者はその世界を肯定して読み続けることができ、長い年月の間に、たくさんの辛抱強いファンが付くこととなりました。

 上下巻から成っている「月の影 影の海」も、前半はかなり、読んでいて「しんどい」エピソードです。あまりにも主人公が苦労を重ねて辛い目にあうため、途中で読み続けられなくなって挫折する人が後を絶ちません(私も初読時は挫折しました)。
 そんな初読の人たちに向けて、既にファンとなっている人たちは、「ネズミが出て来るまで読め」という言葉を贈っています。ネズミが登場したところから、お話に希望の光が差し込んで来るからです。

 なお、十二国記をどこから読み始めるかについては、「月の影 影の海」から読み始めるという考え方と、「魔性の子」から読み始めるという考え方の二つがポピュラーですが、「魔性の子」はホラー色が強いので、私は「月の影 影の海」のほうを勧めることが多いです。これから読まれる方は、どうぞ、「ネズミが登場するまでは、挫けずに頑張って読んでください」ね。

5 夜の写本師    by 乾石智子

(このあたりから、好きの度合いが順不同になって、紹介が簡単になります。)

 国産のファンタジーと言うと、この作品も珠玉です。作者の乾石さんは、この作品がデビュー作。ひとつのエピソードとして、しっかり完結しているお話なのですが、以後、「オーリエラントの魔道師」シリーズとして、同じ世界観を持つ続刊が何冊も刊行されることになりました。

 魔法と復讐の物語でありながら、優しさも感じられるストーリーで、話の運びも文章も、大胆かつ繊細です。
 意外と、読み逃している人が多い印象。ファンタジーが好きなら、ぜひ、これもお試しください。

 いろんな人にお薦めしていますが、入れ子構造の物語が苦手な人には読みづらいのではと思います。心当たりがある方は、ご注意を。

6 ベルガリアード物語(全5巻) by デイビッド・エディングス

 こちらは、欧米ファンタジーの王道を感じさせるストーリー。1巻目のタイトルは「予言の守護者」と、まさにど真ん中ストレートなタイトルです。(その王道さが逆に苦手という人も、時々いらっしゃるみたい。)

 序盤で主人公がジャガイモの皮を剥いているところから、私はぐぐっと引き込まれました。人によっては、序盤はいまひとつで、もう少し進んでから面白く感じる人もいます。
 ちなみに、西洋ファンタジーにジャガイモが出て来ると「中世ヨーロッパにジャガイモは存在しない」と思っちゃう方も、この作品はアメリカ産なのでご安心(?)ください。

 主人公と仲間たちは、一人ひとり個性的で、魅力があります。いまふうに言うと「キャラが立っている」ので、ふだんライトノベルを読んでいる人にも親しみやすく感じられると思います。
 「たまには、ライトノベルに分類されない小説も読んでみようかな?」と思ったとき、手に取ってみるのに適したファンタジー小説と言えそう。

 ……ん? あれっ? 何年か前に見たときは復刊されてたのに、また入手困難になっちゃってる? 残念、古本か図書館で探してみてください。

 なお、ベルガリアード物語がすごく気に入ったという方には、続編にあたる「マロリオン物語」もあります。いえ、私はベルガリアードを読んで大満足したため、その続編はまだインターバルを置いているところで(以下省略)。

7 煌夜祭    by 多崎礼

 読み始めてすぐ、「これ、私の好きなやつだ」と直感しました。ピンと来る人は、ピンと来るはず。少し昏い影のある、幻想的なお話です。

 注意点としては、後半、やや筋立てが入り組んでくるので、入れ子構造のお話が苦手な人は読みづらいかもしれないのと、あと、最初のほうを少し読んだ後、矛盾にぶち当たって冒頭に戻って確認したくなる人がいるはずで(私もそうでした)、その矛盾は後半にならないと解決しませんので、気にせず読み進めてください。

 また、ネットで他の方からお教えいただいたのですが(感謝!)、後日譚もあります。電子書籍だと入手しやすいです。

8 ロンドン橋でひろった夢 by 香山 多佳子、藤城清治

 だいぶ前に廃刊となってしまった「暮らしの手帖」という雑誌に、世界の童話が連載されていました。それをいくつかまとめた本なので、厳密にはファンタジー小説ではなく、世界の童話集です。

 藤城清治さんの影絵が美しく、1冊の本としてみたときに、すごく素敵な、お気に入りの本です。異国の民話がお好きな方に、お薦めします。

9 指輪物語(三部作) by J・R・R・トールキン

 言わずと知れたファンタジーの金字塔、「指輪物語」。「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の三部で構成されています。
 名作ですが、正直に言うと、私は映画化された「ロード・オブ・ザ・リング」のほうが好きです。あんなふうに見事に映像化できるとは想像したことがなくて、感激しました。あの映画こそ名作だ、という気持ちです。

 読んだのは、中学生のとき(まだ映画化はされていません)。雰囲気に流されるようにして読み通してしまったのですが、印象は薄めでした。後から思うと、なんとなく、高校生になってから読んだほうが印象深く感じたかもしれないな、と思います。そういうわけで、個人的には高校生以上の方におすすめしたいです。

 そして、もし小説を読んで、形式ばって/肩がこるように感じたら、映画をおすすめします。美しい。素晴らしい……。

10 ラング童話集 by アンドルー・ラング 

 これも、ファンタジー小説ではなくて、世界の童話集です。ラングさんという人が編纂したので、ラング童話集と呼ばれます。1冊目は「みどりいろの童話集」で、2冊目以降にも色の名前が付いています。

 こういう民話というか童話というかは、好き嫌いが分かれると思うので、お好きな方はお試しあれ、くらいに留めておきます。有名な童話も、そうでもない童話も、長いのも短いのも入っています。
 巻数がけっこう多いので、何冊か読んでいるうちに、少し飽きちゃうかもしれず、ちまちま少しずつ読むのがいいかもしれません。

 

 以上、10選でした! やっと書けた!

 ミステリ小説10選のときは、何を言ってもネタバレになりそうで、たいして説明を書けなかったのですが、ファンタジーは記載多めに書いてみました。
 小説10選とあるので、漫画・絵本・ゲームは含めないで選びました、が、童話集は迷いつつ入れてしまいました。入れてよかったかしらん?

 あらためて全体を見てみると、有名なものばかり、という気もしますが、ひとつふたつ、ご興味を引くものがあったらいいな、と思います。
 みなさま、良い読書ライフをお過ごしください。
 はてなのお題にも参加しておきます♪

 

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選