迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

みんなで始めるミニ書店:<2>趣味の新刊書店をやろう

前回の復習:ミニ書店を作ろう!

前回、みんなで区画をひとつずつ分け合って書店運営をおこなう「シェア型書店」(棚貸し本屋)について書きました。

いま話題の神保町「ほんまる」のように、棚をひとつずつ貸し出して、各棚の借り主が自由にミニ書店を作れる形式の書店のことです。

前回記事を書いてからずいぶん時間が経ってしまいましたので、もう一度お読みになりたい方は、こちらへどうぞ。

snow-moon.hatenablog.jp

そういうわけで、
うまく自分に合うシェア型書店を見つけて契約できれば、棚ひとつぶんの小さい本屋を始めることができます。

誰でも、棚ひとつぶんのミニ書店の店主になることができます!

 

このミニ書店で「古本フリマ」「自著販売」をするのなら、細かいことは気にせずとも、売りたい本を棚に並べれば即スタートできます。

よそから古本を仕入れて売る古書店をする場合は、古物商の資格を取ったり、古本を仕入れたりするので、すこし準備が必要です。

そして、新本を仕入れて売る「新刊書店」の場合は、準備として、新本の仕入れ先と契約し、本を仕入れる必要があります。

私のミニ書店、「こんなところに宝箱が!書店」(以下、「宝箱書店」といいます)は現在、この「新刊書店」をやっています。

趣味の新刊書店をやろう

新刊書店は、本を仕入れて売ることで、出版社や著者の収入に貢献し、「本の流通」を支えることができます。

小さな棚ひとつぶん、ちっぽけな水滴ひとつぶんであっても、本の流通を助けたい人たちが皆でミニ新刊書店を始めたら、いずれは川になって海へと注ぐ日が来るかもしれません。

とはいえ、いかんせん、棚ひとつですから、販売できる本の量には限りがあります。
生計が立つはずもなく。「副業」か「趣味」の新刊書店ということになります。

 

ここでスタンス表明しておくと、私の宝箱書店は断然、「趣味」の新刊書店です。
2年間ずっと赤字で、そもそも開業届も出していません。

仮にこの先、多少の利益が出ることがあっても、いわゆる「雑収入」の範囲を出ないと思います。

仕入先様と取引を始めるときも、正直に、「棚ひとつで、開業届も出していません」と申告しています。

 

人によっては、たとえ棚ひとつでも、マーケティングや商品管理をしっかりと実施して「副業」にしよう、という方もいるかもしれません。
その場合は、開業、税金、会計などについて、より詳細な知識が必要になると思います。

私が書く記事だと、そのあたりの情報はあまり提供できませんので、必要な方は別途、ご自身でお調べくださるようにお願いいたします。

新本を仕入れよう

さて、ミニ書店で新刊書店をやろうとするとき、ほとんどの人が最初につまずくのは、「新品の本って、どこから仕入れたらいいの? 書籍の卸問屋って、どこ?」というところだと思います。

ミニ書店ではない、街で店舗を構えている書店では、本の卸問屋として、大手の「取次会社」と呼ばれる企業と契約をするのが一般的です。

大手取次会社と取引をするためには、数百万円なりの自己資金を用意し、審査をクリアして取引口座を開かなければなりません。

ということは、自己資金が数万円程度で開業届も出していないような「趣味のミニ新刊書店」では、このルートは諦めるしかありません。

本気で書店業について調べたことのある人ほど、「棚ひとつでは取次会社と取引ができない、ということは、棚ひとつの新刊書店は不可能!」と思っている節があります。

でも、実は、自己資金が少なくても、仕入れ量が少なくても、本を手配してくれる会社はあります。

棚ひとつのミニミニ新刊書店は、成立します。

 

そう言われてみると、昔なじみの書店が次々に閉店していく中にあって、小さな個人書店や、カフェや美容院に設けられた書店販売スペース等が、最近、新しい書籍流通の担い手として頑張っているようだ……と、思う方も多いのではありませんか。

そういう小さな書店は、大きな取次会社と契約することは叶いませんが、代わりに、中小の取引に対応してくれる仲介業者と契約を結んでいます。ここでは仮に、「中小取次会社」と呼んでおきます。

中小取次会社は何社かありますが、「これからの書籍流通は、小規模取引にも対応していかなければ!」という考えのもと、ここ数年で勢力を伸ばしているようです。

 

中小取次会社と取引するための審査基準は、大手取次会社に比べて、だいぶクリアしやすくなっています。

私の経験した限りでは、

第一に、法律どおり、新本は定価で販売する旨を約束すること
第二に、実店舗があって営業していること(=書店として機能している証明)

この二つを満たすことができれば、取引を検討してもらうことができます。

一方で、制約もあります。

第一に、卸してもらえる本の出版社やジャンルが限定されること。
第二に、ほとんどの場合、仕入が買い切りとなり、売れなくても返本できないこと。

仕入れたい出版社があったら、めあての出版社の本を卸してくれる会社を見つけて、そこと契約する必要があります。

 

宝箱書店では、
・児童図書や、角川さん、講談社さんの本はA社さんから、
集英社さん、新潮社さん、文藝春秋さんの本はB社さんから、
・左右社さん、スクラップ出版さんの本はC社さんから、
のように仕入れています。

次回は、これら実際に契約している取引先について、具体的にご紹介しますね。

(有料記事にするかもしれません。)