迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

みんなで始めるミニ書店:<1>シェア型書店を探そう(Googleマップ付)

はじめに

 はてなブログで記事の有料販売ができるようになったので、棚ひとつぶん(本が25冊置けるくらい)のミニ書店の作り方を、このブログの中でまとめてみることにしました。

 私自身のミニ書店では、新本を仕入れて定価販売する「新刊書店」を運営しているのですが、まずは、新本であれ古本であれ、ともかく「ミニ書店を構える」ことの説明から始めてみようと思います。

 今回の記事は、全文を無料公開したうえで最後に有料設定を置いておきます。あまり気にせずお読みになって、「これは良いことを聞いた」と思われた方だけ、もし気が向いたら、おひねりを投げていただけたら嬉しいです。

 なお、2023年6月~7月時点の情報を中心にして書いています。ミスも絶対ないとは言い切れません。ご自身でミニ書店を始められる際は、最新情報のご確認をお忘れなく!

私のミニ書店について

 いつもこのブログにお立ち寄りくださる読者様なら既にご存じかもしれませんが、念のため、私のミニ書店を簡単にご紹介しておきます。

 それは、東京都調布市にある「センイチブックス」というシェア型書店にある、小さな棚ひとつぶん(本が25冊くらい入る)のミニ書店です。棚番号は11番、書店名は「こんなところに宝箱が!書店」です。

 開業届も出していない極小書店です。月間の売上も数千円です。

 でも、新本を仕入れて販売する「新刊書店」です(赤字続きですが)。

 新刊書店の運営については、需要がありそうなら、次回以降に書きます。

 センイチブックスのホームページは、こちら。

senichibooks.com

目次

「シェア型書店」:ミニ書店が集う場所

 ミニ書店を始めるためには、既にある「シェア型書店」という形式の本屋さんを探すのが手っ取りばやいです。

 (お近くに適当なシェア型書店がなければ、自分で作っちゃえという発想もありますが、少し話が別の方向に行ってしまうので、今回は省きます。)

 この記事では、棚ひとつのミニ書店を持つために、参加できそうなシェア型書店を探してみようというお話をしたいと思います。

シェア型書店の概要

 シェア型書店というのは、棚をレンタルして、その棚ひとつぶん、好きに本を並べて書店主になることができる仕組みの本屋さんです。

 今まで私が見聞きした情報をもとに、もう少し詳しく書いてみると、「建物の中にたくさんの区画を作り、その区画のひとつずつを会員がレンタルしてミニ書店とし、入会金・レンタル料・販売手数料を全体の運営に充てる仕組みの書店」です。

 シェア型書店ひとつに含まれる区画(多くは棚)の大きさや数は、店舗によっていろいろで、少ないところでは10個くらい、多いところでは数百個を備えています。

 たとえば、棚が100個あるシェア型書店の場合を考えてみましょう。
 全体の運営費は、100人の会員が払う入会金と、月々の棚賃と、本の売上から納める手数料とでまかないます。
 店番も、会員が持ち回りで担うことが多く、100人が代わる代わる店番をすると考えます。誰も店番ができない日があったら、その日は休業とします。

 このような仕組みなので、会員数が足りてさえいれば、つぶれにくい書店を作ることができます。

棚貸しというスタイルについて

 棚貸し自体は、以前から、ハンドメイド界隈などでよく見られる営業スタイルでした。中には本屋さんもあったかもしれませんが、あまり知られてはいませんでした。
 ハンドメイドの棚貸しをしているお店をいくつか見たことがありますが、店番は棚の借り主でなく、大家さんに当たる人がしていることが多かったように思います。

 そんな中、数年前に吉祥寺で、棚貸しスタイルを書店に応用した「ブックマンション」というシェア型書店が誕生しました。
 ブックマンションの発起人となった中西さんという方が、興味を持った人たちにノウハウを伝えたため、日本各地で次々にシェア型書店が誕生することになりました。
 また、「自分たちなら、こう作る」と、ブックマンションとは少し異なる仕組みによってシェア型書店を作る人たちも現れています。書店業界の中で、今まさに活発に動いている分野だと言えそうです。

 会員を集める前に必要となる初期費用(場所を確保したり、棚を作ったり、その他の設備を整えたり)は、クラウドファンディングで数十万円~数百万円を集めているケースが多く見られます。

 そういえば、このブログで以前、センイチブックスについて書いたことがありました。何かの参考になるかもしれませんので、リンクを張っておきます。

snow-moon.hatenablog.jp

「シェア型書店」という呼び名について

 今は「シェア型書店」という呼び方が主流のようですが、こうと決まっているわけでもありません。「棚貸し書店」と呼ばれることもあります。ひとつひとつの区画についても、「棚」と呼んだり「箱」と呼んだりします。

 ミニ書店の集合体のことだけでなく、棚ひとつぶんのミニ書店のことを指して、「シェア型書店」「棚貸し書店」と呼ぶこともあり、少し混乱することがあります。

 私の記事では、棚の集合体である大きな書店のことを「シェア型書店」、棚のひとつひとつのことを「ミニ書店」と呼ぶことにします

棚の仕様と料金について

 どのくらいのサイズの棚を、いくつ作って、いくらのレンタル料とするかは、シェア型書店によって相当違います。

 私の参加しているセンイチブックスでは、ひとつの棚は32センチ四方くらい。基本のレンタル料は月に3,300円。100棚ほどのミニ書店を抱えることができるようになっています。

シェア型書店の選び方:個性いろいろ

 シェア型書店は、ひとつひとつ個性が異なるので、自分がミニ書店を持つのに適したシェア型書店を選ぶための選び方を、いくつか書いておきます。

 いずれにしても、契約前に一度現地に行ってみることを、強く強くお勧めします。

近さで選ぶ?

 頻繁にお店に訪れるためには、近いのが一番。
 でも、近所にない場合は、少し遠くても、あきらめずに検討してみる価値はあります。

 月に一度、お店に足を運んで店番できれば、遠方でも受け入れてくれるシェア型書店は結構あります。また、店番ルールも、お店によって様々です。

 私が所属しているセンイチブックスにも、外国から参加しているメンバーの方がいらして、日本に帰っている期間だけ店番をしていらっしゃいます。

店番ルールで選ぶ?

 自宅からの距離にかかわらず、店番に立つのが難しい人もいると思います。
 店番ルールについて、もう少し詳しく見ておきましょう。

 店番は、会員が持ち回りで担うのが主流ですが、必須である場合と、オプション料金などで免除される場合と、もともと任意で参加すればよい場合があります。稀に、代表者以外の会員は店番に立たないケースもあります(既存の店の一部をシェア型書店にした場合など)。

 多忙であったり、遠隔地に住んでいたりする場合は、なるべく店番せずに済む所を選ぶと続けやすいと思います。
 逆に、積極的に接客したかったり、店番だけが使える現地スペースを有効活用したかったりする場合は、確実に店番できそうな場所を選ぶのが良いですね。

運営方針・テーマ性で選ぶ?

 棚の中にどんな本を置くかは、たいていの場合、棚を借りている会員一人ずつに任されています。でも、中には、全棚でテーマを統一しているシェア型書店もあります。

 契約のときに説明があると思いますが、あとから「置きたい本が置けない」とならないように、確認して選びましょう。

 たとえば、猫に関する本を専門に扱うシェア型書店があったり、同人誌を専門に扱うシェア型書店があったり、古書専門店があったり。

 運営方針も、売上重視なのか、コミュニティ重視なのかによって、客層や雰囲気ががらりと変わります。

 自分がやりたいことが全体のテーマに調和しているほうが、お客さんにも、ミニ書店仲間にも喜んでもらえますし、売上も立ちやすくなります。

棚仕様で選ぶ?

 棚については、大きさと料金を見て、無理のないように選べばよいのですが、1点注意したいことがあるので書いておきます。

 それは、並べたい種類の本がイメージどおりに収まるかどうかです。

 棚の高さが低いシェア型書店だと、絵本や大型本をメインで置くのに不便です。数センチの差が明暗を分けるので、自分の置きたい本のサイズを把握して、しっかり確認しましょう。

ミニ書店の種類:古本フリマ、古書店、自著宣伝、新刊書店

 シェア型書店の中に、どのようなミニ書店をひらくことができるか、簡単にご紹介してみます。

 前述のように、シェア型書店によってはミニ書店の種類が限られることがあるので、ご注意くださいね。

古本フリマ

 たぶん、これがいま一番ポピュラーなミニ書店の形だと思います。
 フリーマーケット感覚で、読み終わった本を持ってきて並べるという使い方です。

 自分が使い終わったものを処分するので、古物商許可もいりません。フリマアプリの代わりです。

 おすすめ本を置いてもいいですし、自分より他の人に役立ててもらいたい本を置いてもいいですね。

古書店

 続いて、こちら。
 フリマスタイルとどう違うのかというと、「自分で使うためでなく、売るために古本を調達し、それを売る」のが「古書店」です。

 この場合は、古物商許可が必要になります。
 個々のミニ書店で取得するのか、シェア型書店全体として取得するのかは、各シェア型書店に問い合わせてください。

自著宣伝

 商業本として流通している自著を置いて、本業の宣伝とする使い方もありますし、自費出版の書籍を置いて読んでもらうという使い方もあります。

 そう、いわゆる同人誌の販売所に使えるのです。常設の。

 ただ、二次創作は置けないものと考えてください。
 オリジナルの創作物として、同人誌、ZINE、フリーペーパー類を置くことができます。

 オリジナル創作界隈では、いかにして読んでもらうかが課題になりますから、常設で売り場が持てるのは素敵なことだと思います!

新刊書店

 最後に、新刊書店。
 棚ひとつでも、町の本屋さんと同じように、新品の本を卸値で仕入れて販売します

 ただ、法律により、一般に販売される新品書籍は、定価でしか販売しかできません!
 そして、よく知られていることですが、たいへん薄利です!

 よく考えて、それでも新刊書店にこだわりたい人は、やってみましょう。

 ここで、んんん?と迷う方がいらっしゃるかもしれません。
 副業の範囲で、開業届も出さず、棚ひとつきりで? 新刊書店ができるの?
 できますよ~。やってますよ! 儲かるかどうかは別の話として。

 仕入先には、「棚ひとつですが取引してもらえますか」と問い合わせて、OKをもらったうえで取引しています。 

シェア型書店はどこにある?(マップ付)

 知っている限りのシェア型書店について、Googleマップの「マイマップ」機能を使ってコツコツマッピングしたものを、ここに貼っておきます。店舗の一部だけがシェア型書店になっているお店を含みます。(もし間違いがあったらごめんなさい。)

 運営する側でなく、買い物する側としても、回ってみると楽しいですよ!
 何軒か回ってみましたが、本当に、ぜんぜん雰囲気が違います。

 私がまだ見つけていないお店も、もっと他にあるかもしれません。
 これからも、しばらく増え続けるだろうと期待しています。
 増えたお店に気づいたら、追加していきますね。

 

 

次回は……

 というわけで、需要がありそうなら、このシリーズでまた書きます。
 あっ、ふつうの雑談記事も書きます。なので、次がいつになるかは本当に未定です。

 また、「みんなで始めるミニ書店」について次回があったら、題材は次のどれかになると思います:

・シェア型書店のクラウドファンディング事例の紹介

・首都圏にあるシェア型書店のいくつかを詳しく紹介

・棚ひとつで新刊書店を運営する方法について詳しく紹介

 最後のを書くときだけ、一部を有料コンテンツにするかもしれません。
 というのは、べつに変わった仕入れ先があるわけでは無くとも、「棚ひとつですが取引をお願いできますか」と1つずつ問い合わせて契約を結んできた実績なので。

 

 それでは、また! (ちょっと長く書きすぎて疲れた~)