著者の方のお名前は、「日明 恩(たちもり めぐみ)」さん。
メフィスト賞を受賞した「それでも、警官は微笑う(わらう)」を読みました。
本作は、2002年に発表された作品です。読む前は、「20年以上前の警察小説って、相当古く感じてしまうのでは……」などと思っていましたが、読んでみたら全然気にならず、とても面白かったです!
(いえ、Wi-fiのない時代だったもんなー、などとは思いましたが。そんなことで面白さは損なわれませんでした。)
さて、警察小説というジャンルに対しては、個人的に、「捜査と追跡の緊迫感に引き込まれるけれど、シリアスで、つまり、全体が暗くて重いんだよね」というイメージを持っています。
それというのも、主人公が頭脳型の場合もパワー型の場合も、性格は真面目なことが多くて、そもそも、「はっちゃけた主人公が快刀乱麻で無双するなら、警察小説でなくていい」とも思いますし。
コツコツと丁寧に物語を固めてゆく硬質な味わいも、警察小説ならではの楽しみですよね! ……などと思っていたところへ。
「ほう、この警察小説はメフィスト賞を獲ってるのか。どれどれ」と思いながら本作を読み始めてみたら、これはこれは……丁寧なのに、軽やかだ!
序盤だけ、インパクトを狙ったのか、取っつきにくい感じの事件がありますが。
読み進めていくと、配置されたユニークな登場人物たちや、散りばめられた古今東西のミステリネタによって、フィクションならではの軽さが生まれ、なるほど、(奇天烈さは少ないけれども)警察小説としてはひと味違う作風に感じられました。
かといって、軽いだけでもありません。ところどころに少々えぐい場面もあって、緊張感が失われることなく緩急が付いて、どんどん読んでしまいます。
結末も、苦いけれども、すっきりした気持ちで読み終えることができました。
これ、続刊はあるのかしら。……おお、あと3冊出ているのですね。
続きも、そのうちに読んでみようと思います。楽しみです。
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