「ライブ配信」というものを、自分が今まで軽んじていたことに気づきました。申し訳ありませんでした。
素晴らしかったです。思い切って直前にチケットを買って、本当に良かった!
独立したミュージカル作品として見ても、原作漫画の舞台化として見ても、とても良い作品でしたので、もし、「観ようかな、どうしようかな」という迷っている方がこの記事を読んでいらっしゃるなら、全力でお伝えしたいです。
ぜひ、観てください!
嬉しいことに、2/7・2/13・大千秋楽2/28の公演も、ライブ配信の実施が決まったそうです。ライブ配信なら希望者全員が視聴できるので、できるだけ多くの人が見られるといいなと思います。
なお、この記事に書いてあることは、飽くまでも 2021/1/23 のライブ配信に基づいていますので、異なる回についての正確な情報が必要な場合は、別途ご確認くださいね。公式サイトはこちらです ↓
(以下、書きたいままに書いたら、大変長い感想文になってしまいました。ご参考になりそうなところだけ拾ってお読みいただけたらと思います。)
ライブ配信について
チケットを買う
チケットぴあ「ポーの一族」チケット情報ページで、チケットを購入します。
(2021/1/23時点では、まだ2月分のライブ配信チケットの購入メニューはありませんでした。そのうちに追加されると思います。)
公演名に「動画配信」と付いていて、公演会場名のところに「PIA LIVE STREAM」と表示されてるはず。
料金は、チケット料金+システム利用料。
今回はチケット1枚分 3,820円でした(GO TO イベント適用後の金額)
配信を見る
スマホ、タブレット、パソコンなどで視聴できます。
私はノートパソコンと両耳イヤホンで視聴しました。
・受付メールのリンク等から「CLOAK」サービスにアクセス
(チケットぴあの会員IDとパスワードでログイン)
・配信視聴用のURLを受け取る
・URLにアクセス
「PIA LIVE STREAM(ぴあライブストリーム)」の画面になって、タイトル画像が表示されれば、正常にアクセスできています
なお、上演時間の少し前に、明日海りおさんのコメント動画がありました。時間に余裕をもってアクセスするのが良いと思います。
それから、アーカイブ配信はありません。巻き戻し再生もできません。リアルタイムに約3時間(うち25分は休憩)あります。ご注意ください。
ライブ配信のメリット
こんなにメリットがありますよ~。
・劇場の席には定員があるけれど、ライブ配信なら希望者全員が見られる
・ライブ配信ならではのカメラワークで見ることができる
・劇場に行って観賞するよりもお財布に優しい
・自宅でリラックスして視聴できる
それから、ライブ配信というものを初体験した私にとって意外だったのは、「リアルタイムで観ている」という意識によって、思っていたよりもずっと、臨場感・高揚感・一体感があったこと。とても良い体験ができました。
ライブビューイング情報と会場リストの参照先
大千秋楽2/28の公演は、全国映画館でライブビューイングもあるそうです。
会場リストももう出ているようです。関連のリンクを貼っておきます。
観劇の感想
前提として:「萩尾望都さんの原作漫画が大好き」組です
この公演を観る人たちは、いくつかの異なる興味のルーツを持って観劇していると思いますが、私自身は、「原作漫画が大好き」の一員として観賞しました。
「観劇」に対する興味としては、1~2年に1度、劇団四季や歌舞伎座に行くくらいです。「好きだけど、あまり詳しくない」といったところでしょうか。
豪華な出演者の方々についても、「明日海りおさんのエドガーは絶賛されているようだ」「千葉さんのアランも高く評価されているようだ」「実力派の方々がたくさん出演されているようだ」という、ざっくりした認識でした。
宝塚版「ポーの一族」は見損ねています。企画が発表されたときに興味を持ったものの、公私ともバタバタと取り込んでいる時期に、気が付いたら終わってしまっていました。後からネットで情報を検索して、パンフレットの表紙(明日海りおさん扮するエドガー)に衝撃を受けました。「エドガーを演じられる生身の人間がいるなんて!」
今回の公演が決まったときは、とても嬉しかったです。劇場のチケットは取れませんでしたが、ライブ配信のおかげで、この素晴らしい公演の観劇が叶いました。どなたにお礼を言ったらいいのか、よくわからないのですが、とにかく、関係者の皆様に感謝しています。どうもありがとうございます!
エドガー(明日海りおさん)もアラン(千葉雄大さん)も完璧
何よりもまず最初に、俳優さんって本当に凄いですね! と思いました。
宝塚公演の評判を聞いていたので、明日海りおさんのエドガーについては安心して楽しみにしていて、拝見したら、本当に。男性とも女性とも大人とも子供ともつかない、優しさと冷たさを併せ持つエドガーが、生きて動いてました!
アランについては、観る前は少し心配していて、それというのも、成人男性がアランを演じるなんて、いかにも難しそうで。考えようによっては、エドガーよりもむしろアランのほうが難しいくらいなのでは、と思いましたので。でも、拝見したら、千葉さんのアランの演技は、パーーーフェクト!でした。心配するなんて、千葉さんと千葉さんファンの方々に失礼だったのかもしれませんね。申し訳ありませんでした。
どの役においても、「演じる人」と「演じられる役」の間には、心や体の差異がありますよね、でも、演じ手さんの技と解釈とオーラは、その境目を悠々と越えて来るんだなあ、と、しみじみ感じ入りました。
明日海さんのエドガーもですけど、千葉さんのアランも、「演じる人と演じられるキャラクターが一体となっている在り方」が、なんだかもうミラクルでした。だって、「14歳の男の子で、お金持ちのお坊ちゃんらしく、一見おとなしそうに品よく見えて、ちょっと生意気で・きかん気で・ワガママで、やんちゃな仕草もあり、ナイーブな面もあり、実は光属性も持ち合わせているアラン」ですよ?
すみません、こういうのは言葉にしようとしても難しいし、うまく通じないですよね。とにかく、エドガーもアランも、とても良かったです。
生身の人間が彼らを演じられるのだろうかと、不安のあまり鑑賞の決心がつかずにいる方たちも、どうぞあまり心配なさらずに。これからのライブ配信などで観ていただけたらいいなと思います。
シーラ(夢咲ねねさん)も素晴らしかった……。
ええと、主要な登場人物については、演じていらっしゃる皆さん本当に、物語の中か抜け出て来たとしか思えない人が多くて、それは、この公演に関わっている多くの方たちがみんな、「ポーの一族」という物語に深い尊敬と愛情を抱いていることの表れなのだと思っています。
だから、一人一人について語ろうとしたら、キリがなくて終わらなくなってしまいますよね。と、ここまで書きながら気が付きました。
なので、最後にもう一人だけ、私が「胸が震えるくらい、最高に好き!」と思った登場人物を。
ポーツネル男爵夫人のシーラです! 原作でのシーラの描かれ方って、いくらか余白が残されていて、読者の想像で埋めてもいいし埋めなくてもいいのだと思っているのですけれど、ミステリアスな美しさを損なわないまま、余白部分にふっくらと埋めてあるシーラらしさが、「まさにシーラはこのような人であっただろう」と思わされて、素晴らしく魅力的でした。シーラが話すたびに、声色の変化に魅せられて、惹きこまれていました。
わかりやすく省略しつつ、配慮の感じられる構成
お芝居の構成についても、感じたことがあります。不勉強なので他の方には読みにくいかもしれませんが、書き留めておきます。
重要なエピソードであっても、メリハリをつけて分かりやすく構成するために、詳細の省かれた部分がもちろん多くあります。でも、「ストーリーを知らない人が置いてけぼりにならないための工夫」と、「ストーリーを知っている人がそのシーンの本来の意味を二重写しにしやすいための工夫」を、共に成り立たせようとする配慮が随所に見られました。みんなが満ち足りて鑑賞できる、このバランスを組み立てるためには、大変な努力と苦労があったのではないでしょうか。
たとえば、メリーベルがアート男爵家の養女だった頃のエピソードは、目立ちすぎずにスムーズに流れて行くように構成されていて、ぎりぎりまで抑えた演出により、オズワルドの凛々しさやユーシスの儚さも10%くらいの出力で、エドガーがメリーベルのところに姿を見せるシーンもシンプルになっています。
そのことで、原作を知らない観客も、素直に受け止めて次へと進んでいけるのですが、同時に、人物の立ち位置やセリフの内容などによって、原作を知っている観客のほうも本来の意味合いを透かして見られるようになっている、と感じました。
オズワルドが水車を作ろうとしてくれたこと、ユーシスが光に溶ける王子様みたいだったこと、エドガーがメリーベルの前に現れて語りかけた言葉、それらの繊細で細かい諸々を重ねて見ても大丈夫なように、考え抜かれて構成されているバランスが素晴らしいと思いました。
(オズワルドとユーシスの役者さんには、持ち時間の短さゆえの困難があっただろうなと思いました。おつかれさまです。)
原作漫画(萩尾望都さん「ポーの一族」)のこと
少しだけ、原作漫画への愛を語ってもいいでしょうか。舞台から入って、原作に興味を持たれた方もきっといらっしゃると思いますし。
本当にコアな原作ファンの方々には及ばないのかもしれませんが、連載初回~「エディス」までの連載分について4種類の版を持っているくらいには、「ポーの一族」が大好きです。初読は中学生のとき、友達から借りて。
4種類というのは、赤い本シリーズの4冊と、2冊組の愛蔵版と、フラワーズ5冊組復刻版と、2冊組のプレミアムエディション。布教するときには、掲載順を重視して愛蔵版を使うことが多いです。
また、以前も書いたことがあるのですが、私の「そのとき一番好きな漫画」は折々に変わることがある一方で、「最も人生に影響を受けた漫画」は、中学生のときに初めて読んだとき以来、今のところ一度も変わることなく「ポーの一族」であり続けています。これからも変わらないのではないか、という予感がしています。そのあたりの詳細は、書いたことあったかなあ、今回は書かずにおきます。
あとですね、長いこと周りの人たちに広めてきた中には、もちろん、合わなかった人もいます。万人に好かれる作品も、万人に嫌われる作品もありませんし、ファンタジーというジャンル自体が苦手な人もいます。原作のエピソードの並び順が時間を行きつ戻りつするのが苦手、という人もいます。漫画を読むときの絵柄の好き嫌いも、人によって違います。
そういう意味では、これから初めて原作を手に取る方は、あまり期待しすぎませんように。でも、舞台を見て原作に興味を持ったなら、ぜひ、試しに読んでいただけたら、ファンとして嬉しいです。
……と、こんなところで、記事を終わりにしておきます。
長くなりました。もう書き終わらないかと思っちゃいました。文章のおかしいところがあったら、後日そっと直すかもしれません。
一言でまとめると:ライブ配信、おすすめです。