迷宮の行き止まりには宝箱がある

雑記です。創作小説はpixivに置いています。

「アリスマ王の愛した魔物」(著:小川一水)を読んで、SFとファンタジーの境界について考えた。

 2年ほど前に完結したSF大作「天冥の標(てんめいのしるべ)」(著:小川一水)を、実はまだ読んでいません。もう2年も経っているのかと驚いています。時間が経つのは本当に速い。
 「天冥の標」は、あらすじなど見てもいかにも私好みですし、家族からも勧められていて、その家族はリアルタイムで追いかけて購入していたので我が家に全巻揃っており、つまり私が読みたくなったらいつでも読める恵まれた環境にあるのですが……、この「うちにある本は後回しになってしまう」現象に、何か名前はあるのでしょうか?

 それはともかく、最近、SFの短編を読みたい気分になって、同じく小川さんの著書で、まだ読んでいなかった短編集「アリスマ王の愛した魔物」を読みました。どのお話も面白くて、予想通りに満足して読み終わりました。思えば、私が初めて読んだ小川一水さんの著書は短編集「老ヴォールの惑星」で、これもすごくいい感じに、雰囲気の異なる短編が収められていました。「老ヴォールの惑星」は、以降、私の「人に薦めたい本」リストにいつも入っています。

 この記事を読んでいらっしゃる方も、もし小川一水さんの本を読んだことがなかったら、まず「老ヴォールの惑星」をお薦めしておきます。ちなみに、著者名の読み方は、「おがわ いっすい」さん。SFを読まない方や、海外作品メインで読んでいる方だと、うっかり知らずにいるケースもありそうですが、日本の代表的なSF作家さんの一人です。
 最初の1冊として「老ヴォールの惑星」をお薦めする理由は、雰囲気の異なるお話が詰め合わせになっているからと、あと、ひとつめのお話「ギャルナフカの迷宮」が、間口の広いお話だと思うからです。そして、1冊通して読んでみて、載ってるお話が全部好き、という幸福な巡り合わせの人も相当いるだろう一方で、「これが好き、これは苦手」となる人もおそらくいるはずで、そうしたら、気に入った作品に似た雰囲気の、別の作品へと手を伸ばしてみたら良いのでは、と思うわけなのです。

 ちょっと話が逸れましたね。元に戻します。
 今回、「アリスマ王の愛した魔物」を読んで、あらためて思ったのですが、小川一水さんの小説を読んでいると、時々、「これはSFでなくファンタジーでも表現できる主題だな。というより、むしろ、このお話もファンタジー小説として読んでも違和感なさそう。でも、SFかファンタジーかで言ったら、SFなんだよなあ!」と思うことがあります。
 具体的には、先ほど挙げた短編「ギャルナフカの迷宮」や、今回読んだ短編集だと表題作の「アリスマ王の愛した魔物」が、まさにそれです。ほら、こうして字面を見ても、そもそもタイトルからしてファンタジーっぽい匂いがしませんか。実際、読んだときの手ざわり(?)も、どことなくフォークロアめいたファンタジー味を感じます。

 長編にもあります。「復活の地」(全3巻)を読んだときにも、読後にふわりと、「SFという枠組みを外しても、この主題の強さは変わらないだろう」のような印象がありました。(ちなみに「復活の地」は、公務員や会社員など、組織で働いている社会人にお薦めしたいSF作品です。1巻目の最初の30頁ほど試し読みして、気に入ったらお会計へどうぞ!)
 ふだん、SFとファンタジーを一緒くたにした「SF・ファンタジー」というジャンル分けに違和感を覚えることがあるのですが、「あのジャンル分けも、あれはあれで合ってるんだなあ、分かちがたいものなんだなあ」という気持ちにもなります。そのうえで、「ギャルナフカの迷宮」や「アリスマ王の愛した魔物」や「復活の地」が、SFなのかファンタジーなのかと言われたら、SFなんですよね

 そういうわけで、「SFとファンタジーの共通点と違い」について、少し考えました。どうしてこんなに似て感じるのだろう、どこで判別されているのだろう。ネットで答えを検索するのもいいけど、自分でも考えてみようかな、と。……もしかして、今これを読んでくださっている方も、ご自身で考えてみたいですか?

 では、ここで関連書籍のリンクを挟んでおきますので、ご自身で考えてみたい方は、その間に、どうぞ。人によっては、考えるまでもない簡単な問題かもしれません。SFとファンタジーの共通点と違いって、何だと思いますか?

 では、続けます。
 私の考えたところでは、「そうか、どちらも、世界を創造するところが同じなんだ」と思いました。そして、「その世界が、科学に基づいて創造されていればSFで、科学から解き放たれていればファンタジーなんだ」と思いました。だからこそ。
 「科学的知識に目隠しをしても世界を理解できるSFは、ファンタジーとしても読めるし、科学的知識に蓋をすると世界を理解しづらくなるSFは、ファンタジーとして読むことが難しい」のではないか、と。

 自分で答えを出したあと、インターネットで検索してみましたが、まあまあ問題なさそうかなーと思います。皆さんはどうでしたか? 簡単すぎましたか? でも、ほら、調べる前に自分で考えてみるのって、楽しいですよね。

 今日の記事は、これでおしまいです。「ふうん、自分はファンタジーばかり読んできたけど、それならSFも読んでみようか」と思ってくださる方がいたら、嬉しいです。読んでみたら、新しい扉がひらいちゃうかもよ!